2019/11/11 01:57
この京都タロットにおいて、その要であり、最も特徴的と言えるのが、「たろう」と「いちひめ」。この2枚は一対である。世界が生まれると、事物は即(好むと好まざるに関わらず)二元性が生じる。現象世界のこの二元性(陰と陽)を「たろう」と「いちひめ」が象徴している。
「零(0)」であるたろうは、黄金の龍にまたがり、手には八咫烏の杖を携え、周囲には霊獣の玉が浮かぶ。これから何者にでもなれるという創造の可能性を感じさせる。植物で言えば成長の全ての可能性を秘めた「種」のような状態。このカードは無限の「変容」を象徴する。
また、たろうから「不動」を見ることができる。北斗七星をもって察せられるように、たろうは「北極星」=宇宙の中心。自らの中心、創造の根源をシンボライズする。日本には古くから北辰(北極星)信仰があった。天にあってただ一点、動かない姿。私たちはおそらく、北極星に揺るぎない愛を覚えたのだろう。不動だからこそ許される変容変化。そこに物語の始まり(=神話)を見たのではないだろうか。